スマートフォン(スマホ)は「Smart( 賢い)」と「Phone(電話)」という2つの言葉から出来ています。スマホができた当時は多機能を持った携帯電話という印象でしたが、今はSNSを中心とした情報交換やインターネットの他、音楽やゲームなど個人個人に応じた使用目的で使われており、私たちにとって、スマホは常に携帯する必須アイテムになってしまっていますね。感覚的には携帯電話とパソコンの中間のような役割を果たしています。
スマートフォンを理解するにあたって、知っておくべきことは「OS」です。この「OS」とはコンピューターを利用するために必要なソフトウエアまたはプログラムのことを指します。
パソコンのOSはMicrosoft社 が提供している「Windows OS」とApple が提供する「Mac OS」が2大勢力です。
スマートフォンのOSはAppleが提供し、iPhoneなどに搭載されている「iOS」と、Googleが開発し、GalaxyやXperiaなどに搭載されている「Android OS」の2種類が世界シェアの99%を占めています。

スマホの歴史

スマホが普及する前は?

昔の007の映画の中で、車の中で使っていたような気がします。今では、肩にかけるショルダーホンを使って、平野ノラがバブル時代を想定したコントを行っているのを見たことがあります。この車載・携帯の兼用型の電話「ショルダーフォン」が1985年に登場しました。当時、契約には、約20万円の保証金と、毎月2万円以上の基本料金が必要だったそうです。しかも、電話料金は6秒で10円だったそうです。
その後、1987年に一般向けの携帯電話「TZ-802型」が発売されました。肩ひもで携帯するのではなく、手を差し込むストラップが付いていて、国語辞典サイズだったため、「辞書型」とも呼ばれていました。

その後、小型化への競争が激化し、1989年にセルラーグループ(現在のau)が「モトローラ・マイクロタック」を、1991年には、NTTも「mova」という手のひらサイズの携帯電話を発売しました。
1993年頃からはアナログ方式からデジタル方式(=第2世代)へと変化していき大きさだけでなく、通信方法も改善されていきます。
日本では、2000年には、J-PHONE(現ソフトバンクモバイル)から携帯電話では初のカメラ付き携帯電話が発売されました。2004年には、ドコモiモード災害用伝言板サービスが開始され、また、携帯電話で買い物ができる「おサイフケータイ」といったオンラインサービスが利用可能となりました。今では、スマホを持っていないと「まだ「ガラケー」(ガラパゴスケータイ)なの?」と時代遅れの人間のように扱われていますが、当時は画期的でした。
2008年にiPhone、2009年にはAndroid搭載の「スマートフォン」が日本に上陸し、2010年4月には、NTTも「ドコモ スマートフォン」を発売しました。

5Gって何?

5Gとは英語で「5th Generation」、日本語では「第5世代移動通信システム」の略です。よく、この5Gを5ギガと間違える人がいますが、全く別物です。
今は「4G」という方式で通信をしています。そして現在、4Gよりも通信速度が100倍速い「5G」という次世代方式の実用化に向けた準備が進められています。5Gでは、2時間の動画を3秒でスマホに入れられるといわれています。

「iOS」と「Android OS」の特徴

OSとは、コンピューター全体を管理・制御しているOperating System(オペレーションシステム)の略です。基本ソフトウェアとも呼ばれます。
「iOS」と「Android OS」は、スマホを動かすためのの脳みそという点では同じですが、その中身は全く異なります。だから、ほとんどのアプリは、それぞれのOSでしか操作できなかったり使えなかったりします。
アプリとは、アプリケーションソフトウェア(application software)の略称です。
特定の用途や目的のために設計されたソフトウェアのことで、種類や呼び名がたくさんあります。例えば、パソコンでよく使われるExcel(エクセル)やWord(ワード)、スマートフォンのアプリではLINE(ライン)などが有名です。それぞれのアプリはOS上にインストールして使用します。
インストール(install)とはOS上に特定の機能を持ったアプリやソフトウェアを取り込んで、その機能を利用・実行できるようにすることです。
iOSアプリのインストールは「App Store」から、Android OSアプリのインストールは「Google Playストア」から行います。

iOSの特徴

「iOS」とはAppleが提供しているOSで、Apple製品上でしか動作しません。そのためシンプルでわかりやすく、快適な動作が行えます。
さらに、Apple製品の「iPad」、「MacBook」や「AppleWatch」などとの互換性が高く、周辺機器をApple製品で統一することで、データのやり取りなどが簡潔に済ませられます。
しかし、Appleが提供するスマホは「iPhone」の一択であるため、iOS搭載のスマホを使う選択肢はiPhoneを購入するしかありません。
その分、メリットとして、周辺機器もiPhoneという1つのブランドに合わせたものだけを開発すれば良くなるので開発効率が高くなり、無駄を省いたシンプルな構造をしているためか、スマホ自体の動作が比較的サクサクと快適に動作します。
一方、iOSのデメリットは、Apple専用からはずれた利用法が難しくなり、自由にスマホをカスタマイズしにくいということになります。

Android OSの特徴

「Android OS」とは、Googleが開発したOSですが、OSが無償で提供されているため、様々な会社がスマホに組み込んでいます。これらの端末を総称して「Android」と呼んでいます。
Android OSのメリットは、Googleが無償で提供していることで各メーカーが独自のカスタマイズをすることができることから、端末の種類が多く、好みの価格や機能を選んで購入できることです。また、購入後もWeb上のアプリを直接インストールしたり、外部SDカードで容量を拡張したりとカスタマイズができます。
Android OSのデメリットは、メリットである無償で配信され自由度が高いことが逆にAndroid OS用のウイルスなどが作成しやすくなり、セキュリティ面でのリスクが伴ってしまうことがあげられます。

通信の仕組み

今はスマホで海外にいる相手とも通話ができ、メッセージや画像などもすぐに送受信できます。すぐそばに相手がいるように思ってしまいます。しかし、瞬時に相手と情報交換ができているように思えても、そのデータは電波に乗って空を飛んだり、ケーブルを伝わって地下に潜ったりと、実は長い旅をしてつながっているんです。

まず、インターネットとは何かを理解しましょう

コンピュータ同士をケーブルや電波などでつなぎ、おたがいに情報をやりとりできるようにした仕組み(通信網)をネットワークと言います。家の中や学校の中など、同一建物内ごとのネットワークを「LAN(Local Area Network)」と言います。
この「LAN」では接続しきれない遠隔地の「LAN」同士を結ぶネットワーク、例えば本社の「LAN」と支店の「LAN」をつなげたものを「WAN(Wide Area Network)」と言います。

この仕組みを更に大きく発展させて、世界中のネットワーク同士がつながるようにした仕組みが、「インターネット(Internet)」です。「インターネット」を文字通り訳すと「相互に接続された(inter)データ通信網(network)」ということになります。
これらすべてが地球規模で相互接続された巨大なネットワークこそがインターネットの正体であり、これぞ、インターネットが「ネットワークのネットワーク」と言われる所以です。

左の2つのマークの違いがわかりますか?

よく目にするマークですね。このマークの本数を見て、ここはつながりが悪いとか言いませんでしたか?
スマホのインターネット接続方法には「Wi-Fi(ワイファイ」と「モバイルデータ通信」との2種類があります。この上のマークがWIFI接続で、下がモバイルデータ通信接続の様子を表しています。
この二つの通信接続について正しく理解していないと月々のスマホのデータ使用量が必要以上に多くなり、費用がかさむ原因になってしまうので注意が必要です。以下の説明を読んで、二つの違いを理解しましょう。

WIFI接続とは

もし、スマホを家庭でWIFI接続しようとするならば、インターネットの回線に接続するための機器をそろえただけではインターネットを利用できません。携帯電話料金とは別にISP(インターネットサービスプロバイダ)との契約が必要となります。
メールを送るためには相手の住所が必要です。その住所に当たるものをIPアドレスと言います。しかし、全世界のパソコンに住所を割り当てるには膨大なIPアドレスが必要となって、実際には不可能なんです。だから、ISPが接続に必要なIPアドレスを貸し出してくれるので、その手数料ということになります。
喫茶店等でフリーWIFIと書かれている場合は、そのお店がISPと契約しているので、そこでWIFI接続することは無料になります。
WiFi接続で通信できる距離は半径50m〜100m程度が目安となります。
WiFiに使われている主な電波の種類には2.4GHzと5GHzがあります。2.4GHzは5GHzに比べて遠くまで電波が届き、障害物があっても接続しやすいのですが、通信速度は5GHzの電波の方が圧倒的に速いという特徴があります。

モバイルデータ通信とは

モバイルデータ通信はパケット通信とも呼ばれ、携帯電話会社が提供する電話回線を使ってインターネット通信を行う方法です。
分割されたデータのことを「パケット」(packet、「小包」の意)といいます。つまり、パケット通信とは、通信ネットワークにおけるデータの伝送方式の一つで、データを小さな単位に分割して個別に送受信する方式です。パケットには送りたいデータのほかに送信元や宛先の所在を表す情報(アドレス)などの制御情報が付加されています。
パケットにする理由は、通信回線や交換器を占有しないためです。これにより、異なる通信速度や通信方式の機器間を接続しやすくなったり、通信回線に問題があった場合などに異なる経路で情報を伝送したりすることができます。受け手側は、パケットについている制御情報を見て、順番を並び替えて元のデータにします。

スマホはどうやって遠方の人やコンピュータとつながるのか

図はNTT東日本「携帯電話・通信の仕組みと歴史」から

スマホの電波は北海道から沖縄まで直接届くわけではありません。だいたい1km~数km程度です。
だから、携帯電話会社であるドコモ・au・ソフトバンクなどでは、全国に基地局(アンテナ)を張り巡らしてインターネットサービスが利用できるようにしています。そして基地局同士は光ファイバーなどの有線のケーブルでつながっているのです。

移動している新幹線のなかでもスマホが繋がるのは、スマホは常に近くの無線基地局の電波強度を測定し続けていて、現在の電波強度より他の基地局の方が電波強度が強いと判断すると、自動的にそれまでの回線を切断して、より強度の強い別の基地局の回線に切り替えるようになっているからです。この仕組みを「ハンドオーバー」と呼んでいます。
左の写真は静岡市の川合山へハイキングに行ったときに見つけたドコモの基地局です。このようなアンテナのある基地局が街中でもビルの屋上などで見つけることができますよ。

携帯電話料金について

スマホを購入するときは、スマホ本体+データ通信プラン+通話プラン+(保証他)が必要になります。どの程度使用するかで、値段が変わってきます。特にわかりにくいのが「データ通信プラン」ではないでしょうか。
データ通信でのスマホの利用は、Webブラウザでのサイト閲覧、SNSアプリであるLINE、Twitter、Instagram、更にメール、動画閲覧、音楽ダウンロードなどであると思います。もし、SNSや動画閲覧などはしないというならば、1G(ギガ)あれば十分でしょう。この中で動画閲覧が最も多く、次にTwitter、Instagramも大容量のデータを消費します。
しかし、これらの多くの通信量を必要とする場合はWIFIスポットに行って利用するというのであるならば、価格が高いデータ通信プランに加入しなくてもよいことになります。
スマホの設定でWIFIのONOFFやモバイル通信のONOFFができます。このONOFFを有効に使うことでスマホを経済的に使うことができます。

スマホの設定でWi-Fiとモバイルデータ通信の両方を同時に接続しておくとどうなるの?

スマホの設定でWi-Fiとモバイルデータ通信の両方をONにしておくと、より安定している方の通信に自動的に切り替わります。
これはWIFIスポットならば自動的にWIFI接続になるというわけではありません。より安定している方ということなので、WIFIでの電波が弱く、モバイルの基地局からの電波が強ければ、モバイルデータ通信接続になります。
こういったことを十分理解していると、スマホをもっと経済的に使いこなせることになりますよ。

通信のまとめ

電波モバイルデータ通信WIFI(ワイファイ)通信
料金スマホの月額料金に含まれるスマホとは別にISP(インターネットサービスプロバイダ)との契約が必要
使用制限使用上限あり
(データ通信プランによる)
無制限に使える
(WIFI提携会社又はWIFI機種により制限がかかる場合もある)
利用エリアどこでも使えるWIFIスポット、WIFI環境が整備されている場所
利用台数1台同時に何台でも