風見鶏のいろいろ

風見鶏は鶏が一般的ですが、世界各地の地方の特色に応じて様々なモチーフで製作されています。めずらしい風見鶏を求めて世界各地を巡る旅もおもしろそうですね。

風見鶏が風上を向く理由

上の様々な風見鶏を見て、気が付いたことはありませんか?
回転軸に対して左右のバランスが悪いと思いませんか?
例えばモチーフが牛の風見鶏は、軸に対して牛がかなり後ろの方にいますよね。また、金色の魚の風見鶏や天使、馬車の風見鶏は軸の中心にモチーフがありますが、その下にある矢の羽根が後方に大きく付いていますね。

風見鶏は図の赤い線を中心に回転できるように支えています。そして風見鶏の頭部は赤い線の回転軸に近く、右側の尾は回転軸から離れています。
つまり、この風見鶏に風が当たって、回転させようとする力(モーメント)は頭に働く力より尾に働く力の方が大きいのです。
回転させようとする力(モーメント)=回転軸の中心からの作用点までの距離×力
でしたね。覚えていますか?
従って、この風見鶏に風が当たると、頭部より尾に当たる回転モーメントが大きいので、頭部が風上になるのが一番安定した状態となるのです。
皆さんも風見鶏のような風向計を作る場合は、この点を考えて作ってくださいね。

風見鶏について

【歴史】
風向を見るための「風見鶏」の起源ははっきりしないが、雄鳥が悪魔を追い払うためとも聖ペテロの標識であるからともいわれている。ローマ教皇ニコラウス1世教会に風見鶏をつけることを法令で決めたため、9世紀頃から教会を中心に普及し始めた。今でも西洋の古い教会などの建物の突端には、風見鶏など何らかの風向を示すものがついていることが多い。
風見鶏という言葉は、元々は「風に向かって雄々しく立つ」という肯定的な意味で用いられていた。しかし戦後の日本政界で中曽根康弘が「風向き次第で態度がすぐ変わる風見鶏」と揶揄されたため、日和見主義という意味合いを持つようになった。その後は中曽根に限らず、態度がすぐ変わる政治家が批判的に「風見鶏」と呼ばれることが多い。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

【なぜニワトリをかたどっているのか】
それは、キリストの最初の弟子ペテロとの逸話から来ているとされています。
いわゆる「最後の晩餐」の後、キリストは捕縛されてしまいます。
その際、弟子たちは散り散りに鳴るのですが、キリストの弟子の中でもリーダーでもあったペトロは「あなたはキリストの関係者ですか?」と三度ほど声をかけられることもありました
その質問には全て「いいえ、私は彼なぞ知りません」と返していたのですが、三度目の否定をした時、ちょうどニワトリが鳴きました。ニワトリの鳴き声を聞き、ペトロは思い出します。
最後の晩餐の際、師であるキリストはペトロは「君はこの後、三度にわたり『キリストなど知らない』と言うだろうと」と声をかけられていたことを。
その際は、「私はあなたと共に死ぬ覚悟があります。決してあなたを知らないなどという事はありません」と答えていましたが、実際のところはどうでしょう。
キリストの予言通り、ペトロは三度にわたり、キリストを知らないと発言していました。自分の行いを恥じたペトロはショックのあまり泣き崩れ、そして改めてどのようなことがあろうともキリストの弟子であり続けることを誓うのです。
この後、ペトロは様々な迫害や苦難にみまわれるのですが、それらを乗り越えてキリスト教の布教のために活動を続け、現在は初代ローマ法王とされる人物になりました。そして、ペトロを目覚めさせることでキリスト教の発展に貢献したニワトリは、悪魔や邪念を払う存在とされるようになりました。
この逸話からニワトリをモチーフにした風向計として、風見鶏が使われるようになったのだとか。
出典: 『FUNDO』


【風見安定】
航空機などの飛翔物において、空力を受ける中心(力点)が重心より後ろにあることで、機体の姿勢が移動方向に追随しようとすることを、風見安定(weather-cock stability)と言う。
例えばの羽や、ミサイルの翼が後方に取付けられているのは、風見安定を確保するためである。
航空機において、垂直尾翼が機体の後方に取付けられているのも、同じく風見安定を確保するためである。また通常、尾翼形式の航空機は、主翼も重心より後方に位置している。そのままでは機体の後方のみが持ち上がり、機首が下を向く事になるため、水平尾翼が下向きの揚力を発生する事でバランスを取っている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』