山の頂で見た三角点は、直方体の固形物で国土地理院が設置しています。四角なのになぜ三角点なのか気になったので教えてください。(ペンネーム:山の若大将)

私も時々、ハイキングで山に登ります。そのときに、三角点はないかなといつも探します。三角点はどの山にもあるものと最初は思っていましたが、山に多いことは確かですが、山だから三角点があるとは限りません。

帆掛山(一本松公園)三等三角点
山伏岳 二等三角点

地図上の位置や距離を知るためには、測量をしなくてはなりません。主な測量方法に三角測量、多角測量、GNSS測量があります。ご質問の柱石が四角なのになぜ、「三角点」と呼ぶかですが、これは測量方式によるものです。三角測量によって測量された基準点ということで「三角点」と呼ばれます。ちなみに多角測量(トラバース測量)方式による基準点を「多角点」と呼びます。

三角測量とは

三角形の合同条件はご存じですか?
中学2年生で勉強します。
1 3組の辺がそれぞれ等しい
2 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい
3 1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい
2つの三角形において、この内のどれかが成立すれば、2つの三角形は全く同じ三角形といえます。言い換えると、三角形の合同条件が調査できれば、A点、B点、C点の位置が定まるということになります。

三角測量はこの3番目の「1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」を応用しています。つまり、辺BCの長さを精密に測定することから始まります。この1辺を「基線」といいます。三角測量ではこの「基線」をできるだけ水平に近い2点を選び、計測します。測定は不変鋼製のワイヤまたはテープの巻尺 (基線尺。 25m) を用いてはかることもありますが、現在では光波測距儀や電波測距儀、特にレーザー測距儀というヘリウムネオンレーザーを光源とする精度の高い測距儀を用いています。日本には全国で 14ヵ所に基線が設けてあって、1辺の長さは3~10kmにとってあり、観測誤差は 0.1~1.8mmということです。(参考出典:ブリタニカ国際大百科事典)

これを応用すれば、木に登って巻き尺で高さを調べなくても木の高さも求めることができます。Bの長さ(基線)を求めます。次にp点から木の頂点までの角度(Angle A)を求めます。Point bでの角度は90度なので、この三角形は一つしかなく(1辺とその両端の角)、作図しても計算してもHの長さが求められます。
だから、木の高さはH+hとなります。

出典:国土交通省国土地理院

このような三角測量の方法を用いて三角網を形作り、日本全国を調査して、地形図が作られています。
三角網を形づくる三角形は正三角形に近いほど精度がよい。
三角点の位置は見通しが良い場所がよいため、高い場所に設置されている場合が多く、山の山頂や公立学校などの公的建造物の屋上に設置されている。
しかし、高い山の頂は雲に遮られることが多く気象条件に左右されやすいため一番良いというわけでもない。そのため、気象条件の悪い山を避けて、隣の低山に設置することもある。

日本経緯度原点

三角測量よって地形図をつくるために、最初の出発点が必要です。この点を日本経緯度原点(Geodetic Datum Origin of Japan)といいます。
なお、この地点の経度と緯度の基準数値は次のように定められています。
経度:東経13944288869
緯度:北緯35度39分29秒1572

出典:国土交通省国土地理院

三角点の種類

三角点は一等三角点から五等三角点まである。登山家の中には一等三角点を山頂に持つ山の踏破を目指している愛好者も多い。
なお、三角点の値は、三角点標石上面十字線の中央の位置の値であり、標高点もその山の山頂の値とは限らない。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
一等三角点
設置間隔は約40km、必要に応じて約25km間隔の補点が設置される。全国に約1000点。柱石の一辺は18cm、破壊や破損に備えて、柱石の直下には2枚の盤石も埋設されている。
二等三角点
設置間隔は約8km。全国に約5000点。柱石の一辺は15cm、破壊や破損に備えて、柱石の直下には盤石も埋設されている。
三等三角点
設置間隔は約4km。全国に約3万2000点。柱石の一辺は15cm、破壊や破損に備えて、柱石の直下には盤石も埋設されている。現在の技術水準では、2万5千分1地形図を作成するための位置の基準は3等以上の三角点で充足される。
四等三角点
設置間隔は約2km。全国に約6万9000点。柱石の一辺は12cm、破壊や破損に備えて、柱石の直下には盤石も埋設されている。地籍調査又はこれに相当する調査の測量の基準点として、国土交通省土地・水資源局国土調査課の委任を受け、国土地理院が設置する。
五等三角点
1899年(明治22年)に国土地理院の前身である陸地測量部が「海中の小岩礁の最高頂を観測し、其の概略位置及高程を算定し、之を五等三角点と称すること、尋て市街地の高塔等亦之に準することに定めたり」とあり、三角点標石を設置するのが困難な小岩礁はその最高点を五等三角点とし、火の見櫓や煙突等の市街地の高塔もこれに準じた。長らく五等三角点の新設は行われておらず、四等三角点以上への切り替えや廃止が行われたため、現在は下記の沖縄県の小島の2か所が残存しているのみである。
神山島 北緯26度15分45.47秒 東経127度35分03.77秒
ハテ島 北緯26度14分24.33秒 東経127度27分22.08秒

柱石

三角点は目に見えている柱石だけから成っているわけではありません。柱石の下には、もう一つ重要なパーツである盤石があって、これらで三角点は構成されています。柱石には花崗岩など硬い素材の石が用いられ、石の頂部には十字の切り込みが入れてあります。
柱石は、上の部分の 15cmを土の上に露出するように設置され、地中には 60cm程度埋まっており、その下に盤石が埋設してあります。
なお、柱石の破壊など機能を損ねる行為をした者は、測量法の規定により2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。

○○三角点の文字は原則として南面向きに記入されています。だから、○○三角点の文字のある側に立てば、正面が北ということになります。