「やんちゃ坊主」さんからの質問です。
LEDの方が寿命が長いということで、白熱電球であったものを全てLED電球に変えた思い出があります。では具体的に何が違い、どのような電球を選べばよいのかを原理を説明するとともに、考えていきましょう。
白熱電球の原理
電球というとエジソンの発明として有名ですが、実は、発明そのものはジョゼフ・ウィルスン・スワンと言うイギリス人によって1860年に発明されました。エジソンは、電球の中にぐるぐると巻かれているフィラメントという部品に竹を使うことで、長時間利用できるようにしたことで有名なのです。
発熱電球の原理はいたってシンプルで、ぐるぐる巻かれているフィラメントの中を電子が通るときの摩擦で発光しているのです。だから、フィラメントに摩擦熱が生じやすいように(電子が通りにくいように)わざわざ、ぐるぐる巻きにして抵抗を大きくして(電子がぶつかり合うようにして)いるのです。
フィラメントは現在では竹ではなくてタングステンと呼ばれる金属でできています。
人に話したくなる豆知識
電気が流れるというのは、マイナスの電荷を持った非常に小さな電子のつぶがマイナス側からプラス側に流れることをいいます。よく、電流はプラスからマイナスに流れると言いますが、このとき、実は電子がマイナス側からプラス側に流れているのです。
フィラメントが摩擦で光るの?
摩擦すると熱が発生するのは感覚的に理解できると思います。冬の寒い時に手を擦り合わせると温まりますよね、手を擦り合わせると手の分子同士がぶつかりあって摩擦熱が生じるからなのです。
電子も同じです。電子の粒がフィラメントの中を通り抜けようとするとき、摩擦熱が生じます。白熱電球が熱くなるのはこのためです。そして同時に、分子が熱を発生するときは電磁波(光)も発生させるため、光るのです。
電気を流すと熱を発生するものはたくさんありますね。例えば電気ストープは電気を流すと、熱を発生させると同時に赤く光ります。
あらゆるものが電磁波を放射しています。その放射強度はその温度と放射率、波長によって変わってきます。 サーモグラフィはその放射輝度を測定することで、温度換算しているのです。
フィラメントが切れるのは、フィラメントが熱放射により高温(白熱化)になることで、フィラメントが蒸発(昇華)し、次第に細くなって最後は切れてしまうのです。
LED電球の原理
LED(発光ダイオード)は電気を流すと発光する半導体素子を利用しています。特徴は電子の持つエネルギーをそのまま光エネルギーに変換することができることです。
白熱電球はフィラメントの電気抵抗による熱と光を発生させます。蛍光灯は後述しますが、アーク放電により蛍光物質を光らせるというものです。これらに対して、LEDの場合は、電気をそのまま、他のエネルギーに変えることなく光に変えることができるため、非常に効率的なのです。
光の三原色はご存じですか?
光の三原則とは、「赤(R)」「緑(G)」「青(B)」という三つの色が混じることで光は白(透明)になるというものです。(ちなみに、色の三原則は「赤」「青」「黄」で全て混ぜると黒になります)
テレビの画面を虫眼鏡で見てみると、このRGBの縞模様がたくさん見えます。このRGBにどれだけの光線を当てるかで、カラーの画面になっているのです。
実は、LED(発光ダイオード)については、1900年の初頭には既に研究されていましたが、青色の光を出す発光ダイオードが開発できなかったことから、「白色」の光を作ることができずに、照明にも利用できなかったのです。
しかし、1993年に「青色発光ダイオード」が開発・実用化されました。このことは、「青色発光ダイオード」の開発というより、その特許権をめぐって様々なメディアで取り上げられましたので、多くの皆さんがご存じだと思います。
これにより、光の三原則を作り出す発光ダイオードが揃ったことにより、LED照明のみならず、様々な色を作り出すことで活用の範囲が広がっていったのです。
蛍光灯の原理
簡単に言えば、蛍光体でコーティングされたガラス内面に紫外線を当てて、光を出す仕組みになっています。
1 フィラメントに高い電圧をかけます。すると電子の粒が飛び出します。
2 飛び出した電子の粒は、蛍光管の中に浮かんでいる水銀の粒にぶつかって紫外線を出します。
3 その紫外線が蛍光管の内側にコーティングされている蛍光体に当たって光を出します。
白熱電球とLED電球と蛍光灯との違いは何?
白熱電球とLED電球と蛍光灯との違いは、なんといってもその寿命の違いでしょう。白熱電球の寿命に比べると蛍光灯は約6倍、LED電球は約30倍となります。だから、LED電球の購入コストが多少高めであっても、寿命が長いうえに電気代もお得なので、これからはLEDが主流になっていくことでしょう。
このほか、LED電球は他の光源と比べて紫外線を出さないため虫などを寄せ付けにくいというメリットもあります。
白熱電球 | LED電球 | 蛍光電球 | |
寿命 | 短い 1,000~3,000時間 | 非常に長い 40,000時間 | 長い 6,000~16,000時間 |
電気代 | 高い | 非常に安い 白熱電球の1/8 | 安い 白熱電球の1/4 |
光色 | 暖色 | 昼白色・電球色 | 昼光色・昼白色・電球色 |
電球色について
電球を購入する際に、どの色を購入したらよいのだろうと悩んだりしませんか?
色温度が高いほど発光色は青白さを増し、逆に低くなると黄色っぽい光になります。
昼光色はコントランスが高く細かなものもはっきりと見えやすいので、勉強部屋や集中が必要なオフィスに向いています。
昼白色は太陽の光に近い自然な色なので、リビングや洋服の色選び、洗面所などでメイクの確認をするのに向いているでしょう。
電球色は温かみが感じられるので、寝室、廊下や階段の他、料理が美味しく見えるので食卓の明かりに向いているでしょう。
明るさについて
様々な電気器具は消費電力であるW(ワット)数が記されています。ワットとは正確には消費される電気エネルギー、つまり消費電力を表わしています。
まだ世の中に照明機器としては白熱電球しか存在しなかった時代は、W(ワット)数が明るさと比例しているため、〇W(ワット)の電球といえば、どの程度の明るさかを認識することができたのです。しかしLED電球は、消費電力が白熱電球に比べて圧倒的に小さいため、W(ワット)数が明るさの目安にはならなくなってしまったのです。
例えば、80lm(ルーメン)の明るさを得るために、白熱電球は約60ワットの電力を消費しますが、LED電球の場合は約10ワットしか消費しないのです。
lm(ルーメン)とは光の明るさ、量を表す単位です。さらにいえば、ルーメンは「光束」を表します。つまり「光の束」の量と考えればよいのです。
しかし、白熱電球をLED電球に交換したい場合、どれを購入してよいのかわからないので、「〇ワット相当」「〇W形」「〇形」などと表記する方法が用いられるようになりました。例えば40形とは、白熱電球の40ワット相当の明るさがあることを意味しています。
日本電球工業会は、「白熱電球40ワット相当」をうたう場合は、全光束が485ルーメン以上、「白熱電球60ワット相当」をうたう場合は、全光束が810ルーメン以上というルールを定めています。
図のLED電球は「白熱電球40ワット相当」、「電球色」であることを表しています。また、実際の消費電力は4.3W、明るさは440ルーメン、寿命は40,000時間であることがわかります。